9.カメラのジャバラ

カメラのジャバラ・暗箱。

カメラジャバラ

古くギリシャ時代には既に、現在のピンホールカメラと同じ原理が発見され、その後画家などにより、正確な風景の模写などに活用されていた。つまり、穴を通して外の景色が、さかさまの形に部屋の壁に映し出されるという光学現象である。カメラオブスクラ。

このことを利用して、外の景色レンズを通して、感光材の上に結像させる道具が生み出された。カメラの始まりである。限られた時間しかない人生のひとコマひとコマを映像で残すことへの思いは、人類共通の願いであり、カメラは、その後世界に普及していくことになる。記憶を記録にとどめる作業は、人生の思い出のみならず様々な情報の保存・活用に使用されている。

カメラに関連したジャバラの使われる部分は、用途によって以下の分類が考えられる。
1. レンズとフィルム間 アオリの機能とシャインフリュークの法則・接写ベローズ
2. レンズの先 フィルター装着用レンズフード
3. ピントグラスの前 遮光幕・ピントグラス保護カバー

アオリの法則とジャバラ

オーストリアのジャインフレーク氏(1865〜1911)が見つけた原理でシャインフレークの法則とも言う。
すなわち、レンズで被写体の像をフィルム上に結ぶ場合、もっともシャープな像が得られるのは、被写体面、フィルム面とレンズの光軸に垂直な主面のそれぞれの延長線が一点に集まるように、各面を配置した時である。ジャバラによりレンズ主面とフィルム像面を傾斜させながら位置関係を整えることで、カメラに対して斜めに置かれた平面上の被写体に正しくピントが合わされるのである。

ジャバラの動きには、以下の種類がある。
1. シフト
2. ライズ
3. フォール
4. チルト
5. スイング

ここでは、光との関係が要素であるため、光を通さない遮光性の有る素材と光を乱反射させない(ハレーション)艶消しのマット状の裏地が必要とされた。
昔は、ヤンピーという羊の皮の表皮を使い、裏材の間に、オリグセのつけられる芯材という中間層を備えた3層構造であった。
結婚記念写真など人生の記念のひとコマに、光漏れなど許されない、ピンホールやかぶりなどを防ぐ素材構造が要求される。つまり、伸縮・折りたたみの機能に加えて、遮光性という機能が絶対条件になるのである。

また、写真家は美を求める。その部品で且つ表面積を大きく占める蛇腹は、そのもの自体美しくなければならない。コズメティックな機能も無視できない蛇腹である。

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